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1億年前〜明治大正昭和…時を超える三笠ジオパーク野外博物館

1億年前〜明治大正昭和…時を超える三笠野外博物館 ブログ

三笠ジオパークの見どころのひとつ、野外博物館。
幾春別の森林鉄道跡を利用して作られた片道1.2kmの道では、近代日本の発展を支えた幾春別炭鉱の遺構や、5千万年前〜1億年前の地層や断層を見ることができます。

 

入り口

入り口は三笠市立博物館の横。
入場料は無料です。

博物館の裏にある橋を渡った先に案内板があります。
看板を左に進みます。

 

旧幾春別炭鉱の遺構

幾春別炭鉱立坑櫓

幾春別炭鉱は明治19年(1886年)開鉱、昭和32年(1952年)に閉鉱しました。
その象徴とも言える立坑櫓は大正9年(1920年)に建てられたもの。
現存する立坑櫓としては道内最古です。
櫓の高さは約10m。深さは215mありました。

このカッコイイ星は北海道炭礦鉄道会社(現在の北海道炭礦汽船株式会社)の社章。
鉄骨は九州の八幡製鉄所で製造されたものを使用しているそうです。

立坑櫓は隣の捲揚室につながっています。
こちらの建物は入ることができます!

捲揚室には立坑の巻き上げ機械がありました。
機械は現存しませんが、その遺構は今も見ることができます。

 

捲揚室の隣の建物。
こちらは入ることができませんが、中の様子は見ることができます。

 

立坑櫓から幾春別川へ下ったところに、旧錦坑坑口があります。
この坑口からは今でも硫黄分を含んだ冷泉が流れ出ています。

写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんが、硫黄分で川底が真っ白になっています。
周辺も少し硫黄臭い。

次は時代を一気に遡り、約5千万年前の大地の様子を見ていきます。

 

幾春別層(約5千万年前の地層)

幾春別層

幾春別層は約5000万年前の地層で、川底に積もった砂や泥から形成されています。
幾春別炭鉱の石炭は、この幾春別層から採掘されていました。

幾春別層石炭層

石炭層の一部。斜面に石炭が露出しています。

地層といえば、一般的には水平に重なり合った層をイメージします。
しかし、このあたりの地層は垂直。
長い時間をかけて大地が押し曲げられ、このような地層になったそうです。
エネルギーの凄まじさが直に伝わってきます。

こちらは「狸堀り」の跡。
狸掘りとは、地表に見える石炭を追って掘りすすめる採掘方法。
計画的にまっすぐ掘りすすめるのではなく、石炭のあるところを奥へ奥へと進むので、トンネルはかなり不規則な形になります。
その不規則なトンネルの様子が狸の巣穴に似ていることから、狸掘りと呼ばれるそうです。
ここでも垂直な地層がはっきりと現れています。

ひとまたぎ覆道が見えてきました。
この先は一億年前の世界です。

 

三笠層(約1億年前の地層)

ひとまたぎ覆道。
覆道の手前のラインが5千万年前の地層と1億年前の地層の境界。

このラインですね。
文字通り”ひとまたぎ”で5千万年の時を超えることができます。

地層の境界は少しわかりづらいです。
はっきりと見たい人は草のない季節に行った方がいいかもしれません。

覆道の中に入ります。
トンネルではないのに、中はかなりひんやりしていました。

こちらが1億年前の地層。
固い岩盤の間に細かい石の薄い層が見えます。
触るとちょっと冷たい。

これは何かがはまっていた跡。
形的にただの石ではないようですが・・・
こういった謎の跡が随所に見られます。

割れた地層。
断層でしょうか?
綺麗に割れています。

こちらは縦ずれ断層。
上下にずれるやつですね。
こんなに巨大なものが動くなんてちょっとにわかには信じがたいです。
地震がいかに膨大なエネルギーを持っているのかがよくわかります。

覆道を出ると、イノセラムスの化石がありました。
約2億年前から約6600万年前まで生息した2枚貝です。
牡蠣っぽい。

イノセラムスのすぐ横にあるトンネルが神泉隧道。
このトンネルは昭和13年(1938年)に森林鉄道のために掘られました。

こういう細いトンネルはいいですね。
中には自動点灯の照明があります。
近づくといきなり点灯するのでちょっとびっくりします。

内部はこんな感じ。
素掘りなので、荒々しいです。
三笠層の新しい層から古い層に向かって掘られているので、進めば進むほど地層の時間が遡ります。まさにタイムトンネル。

トンネルを出ると鏡肌がありました。
鏡肌とは断層で地面がずれることで磨かれ鏡のようになった断層面のこと。
ただ、この鏡肌は風化により光沢は残っていません。

そして終点です。
終点付近ではカヌーの競技が行われていました。

 

おわりに

わずか1.2kmの道のりに1億年以上の時間が詰め込まれた三笠野外博物館。
近代日本を支えた炭鉱の遺構の数々や1億年にも渡る大地の活動の痕跡は見応え満点です。
ブラタモリでやってほしいくらい。
野外博物館の道はサイクリングロードとして整備されているのでとても歩きやすいです。
自転車で走るにはちょっと距離が短いですけど。
気軽な感じで歩けるので、ぜひ訪れてみてください。

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