【歴史】小樽の町名全58個の由来を調べてみた!後編:住吉町~若松

小樽の町名由来、後編です。
前回は住ノ江までだったので、今日は住吉町から若松町まで。

▼前編はこちら
【歴史】小樽の町名全58個の由来を調べてみた!前編:相生町~住ノ江

 
30. 住吉町(すみよしちょう)

町名設置:昭和42年
由来:墨江神社(現住吉神社)がかつてこちらにあったことから。住吉神社が現在の場所に移転したのは明治14年のこと。

 

31. 銭函(ぜにばこ)

町名設置:昭和15年、朝里村合併による。
由来:ニシン漁で栄えていたころ、なぜか銭函の漁場は漁獲に対する税金が免除されていて、そのため漁師の家々に銭の箱が積まれていた、という説が有力。ニシン・バブル。

 

32. 高島(たかしま)

町名設置:昭和15年の高島町合併による。高島郡高島村は明治3年。
由来:アイヌ語「タカシュマ」(タカのような岩)から。意外なことにアイヌ語由来。

 

33. 築港(ちっこう)

町名設置:昭和42年
由来:小樽港の開発や整備の基地として設けられた小樽築港駅から。小樽築港駅の名は、南防波堤の建設者・伊藤長右衛門が命名したそうです。

 

34. 手宮(てみや)

町名設置:明治14年
由来:アイヌ語「テンムンヤ」(海草が集まるところ)から。

 

35. 天狗山(てんぐやま)

町名設置:昭和44年
由来:天狗山から。山の方の名の由来は、

1. 山中に天狗火(火や煙など)が見え、天狗が棲んでいると言われた。
2. 山や岩の形が天狗に似ていた。
3. 東北日本海側から移住してきた人々が、故郷の天狗山を想って名づけた。

(Wikipediaより)

などと言われていますが、はっきりしません。これはきっと天狗の仕業ですね。
ちなみに天狗山(町)の人口は0人。なのに1丁目と2丁目がある。
なにこれ、なんか棲んでんの!? 郵便番号まであるし。まさか天狗の(略
そういや、旭町も住んでないのに郵便番号ありますね。ごくり……

 

36. 天神(てんじん)

町名設置:大正4年
由来:天満宮があることから。

 

37. 富岡(とみおか)

町名設置:大正4年。但し当時は「富岡町」の表記。「富岡」は昭和42年。
由来:不明。富岡は明治期から富裕層の住宅地として栄えていたので、おそらくそれが由来ではないかと。
ちなみに「旭展望台」があるのはこの富岡。旭町ではありません。

 

38. 豊川町(とよかわちょう)

町名設置:大正4年
由来:手宮川の流れから。「源町」(源流)→「清水町」(きれいな水)→「豊川町」(豊かな川)→「錦町」(錦のように輝く)

 

39. 長橋(ながはし)

町名設置:大正4年
由来:色内川の土砂の流出を防ぐために砂防した結果、池や沼が増え、あちこちに長い橋が架けられたことから。砂防はそのまま砂留町の由来になりました。砂留町は長橋に吸収されてしまいましたが、「砂留トンネル」にその名が残っています。

 

40. 錦町(にしきまち)

町名設置:大正4年
由来:豊川町参照

 

41. 信香町(のぶかちょう)

町名設置:明治3年
由来:アイヌ語「ヌプパオマナイ」(野原の上方を流れる川)から。ヌプパオマナイ→ヌナカ→信香となったそうです。ヌナカ→信香はともかく、ヌプパオマナイ→ヌナカの間には一体なにがあったんでしょうか……

 

42. 花園(はなぞの)

町名設置:明治17年
由来:不明。小樽公園(花園公園)のある一帯はかつて「櫛形山」と呼ばれていたようです。公園化が進んだのは明治中期から。町名の由来も公園から来ているのではないかと思います。

 

43. 張碓町(はりうすちょう)

町名設置:昭和15年、朝里村合併による。張碓村は明治初期に設置。
由来:アイヌ語「ハルウシ」(食料の多いところ)から。

 

44. 春香町(はるかちょう)

町名設置:昭和33年
由来:不明。町名自体は春香山から来ているのではないかと思いますが、そもそも春香山の名の由来が不明です。ちなみに春香山の住所は札幌市南区。

 

45. 船浜町(ふなはまちょう)

町名設置:昭和18年
由来:ニシン漁が盛んで、船がたくさんあったことから。

 

46. 星野町(ほしのちょう)

町名設置:昭和33年
由来:不明。隣接している札幌市手稲区星置に由来するのでしょうか。星置はアイヌ語由来です。JRのほしみ駅は星置の名が由来となっています。

 

47. 望洋台(ぼうようだい)

町名設置:不明
由来:不明ですが、海を望む高台の意味で間違いないでしょう。
望洋台は小樽の中でもかなり新しい町(一番?)です。望洋台の開発が計画されたのは昭和43年のこと。しかし、紆余曲折ありまして、実際に着工したのは昭和55年でした。

 

48. 真栄(まさかえ)

町名設置:明治6年
由来:不明

 

49. 松ケ枝(まつがえ)

町名設置:大正4年
由来:不明ですが、町名が設置された当時遊郭があったことから、ちょっと風情のある名にしたのではないしょうか。
余談ですが、遊郭があった当初、松ケ枝に内包されるような形で、羽衣町・弁天町・仲町・京町・柳町と吉原にちなんだ町が並んでいました。北海道立図書館デジタルライブラリーで、当時の地図を確認することが出来ます。今回参考にしたのは「大正五年小樽市街図」という資料です。興味のある方は検索してみてください。

 

50. (みどり)

町名設置:大正4年
由来:不明。緑は古くから庶民の住宅街として発展してきました。ビジネスとは関係のない、「庶民が住む町」に相応しい名前として「緑」と名付けられたのではないでしょうか。隣が富岡なので、庶民ではない方もたくさん住んでいるようですけどね。

 

51. 港町(みなとまち)

町名設置:明治4年
由来:資料はありませんが、そのままでしょう。小樽市の人口統計資料では、「相生町・港町」で一括りにされています。間に堺町があるのになぜ……?

 

52. 見晴町(みはらしちょう)

町名設置:昭和18年
由来:銭函海岸を見下ろす高台の意味から。

 

53. 最上(もがみ)

町名設置:大正4年
由来:不明。小樽で一番高い位置にあることから、だと思います。

 

54. 桃内(ももない)

町名設置:昭和33年、塩谷村合併による。
由来:アイヌ語「ヌマオマナイ」または「ヌモマナイ」(果実の沢)から。

 

55. 山田町(やまだまち)

町名設置:明治19年
由来:山田吉兵衛(第2代小樽区長)が私財を投じて道路を造ったことから。
小樽の町で人名由来となっているのは山田町だけ。堺町にも人名説はありますが、そちらは「境界説」(堺町の項目参照)が有力。

 

56. 蘭島(らんしま)

町名設置:昭和33年、塩谷村合併による。
由来:「ラノシュマナイ」または「ラゴシュマナイ」(下り入るところ)から。

 

57. 若竹町(わかたけちょう)

町名設置:明治4年
由来:アイヌ語「ワツカタナイ」(水を汲む川)から。高島に続きまさかのアイヌ語。

 

58. 若松(わかまつ)

町名設置:明治5年
由来:不明

 

 

由来不明で締めくくるという、なんとも締まらない終わり方でしたが、いかがでしょうか。
やはりアイヌ語由来が多いですね。
逆にアイヌ語由来ではない町名は、由来不明なことが多かった印象です。
“失われつつあるアイヌ語”の町名由来よりも、現在使われている日本語の町名由来の方が失われているのは、なんだか不思議な気もしますね。

以上、中村でした。

参考文献
河村禮三(1982)「小樽町名の由来」,市立小樽図書館所蔵.
佐藤圭樹,小樽市総合博物館(2014)「写真で辿る小樽 明治・大正・昭和」,北海道新聞社

参考ウェブサイト
特定非営利活動法人 歴史文化研究所(2009)「小樽學」[online]otarugaku.jp/(参照2014-11-5)

※町名由来は諸説ある場合がございます。

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