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本当は秘密にしたい小樽観光:「冬の夜の北運河とガス灯の路」

本当は秘密にしたい小樽観光:「冬の夜の北運河とガス灯の路」 ブログ

小樽といえば運河。近年はテレビ等に登場することも多く、全国的にも知名度が上がっています。
また、中国や韓国をはじめとしたアジア圏での人気も急上昇しています。

しかし、観光客に人気があるのは浅草橋(よくテレビで出るところ)から中央橋までのわずかなエリアのみ。
毎年2月に開催される人気イベント「小樽雪あかりの路」も、会場となっているのは、運河ではこの区間だけです。

石造りの倉庫が立ち並ぶこのエリアは、夜間にはライトアップもされ、また周辺にホテルや飲食店、美術館などもあり、観光地らしい華やかな雰囲気を漂わせています。

小樽運河の遊歩道を浅草橋から歩いていくと、中央橋で人の流れが途絶えます。
中央橋からその次の竜宮橋までの約250mは、倉庫も何もないエリア。
ほとんどの観光客はここで引き返します。

しかし、実は竜宮橋を越えた先からが、本当の小樽運河なのです。

倉庫への水運を目的として造られ、大正12年に完成した小樽運河。
戦後、埠頭の整備が進みその役目を終えたあとは、長らく放置状態にありました。
そして、埋め立てるか否かの長い論争の末、昭和61年にその幅の半分(20m)が埋め立てられ、今の姿になりました。

そんな運河の中で、埋め立てを免れた区間が「北運河」です。

北運河は、整備こそされているものの、幅は埋め立て前のまま(40m)で、今も船の係留場として使用されています。
観光地化された浅草橋周辺とは違い、運河本来の姿が今も残されているのです。

さて、その北運河ですが、冬の夜に行くと浅草橋では味わえない不思議な雰囲気が漂っています。

北運河には人がいません。
竜宮橋からの約650mの間ですれ違うのはわずか数人。
森閑とした細い雪道に、ポツリポツリとガス灯が光を落とし、水面では係留された幾艘もの船がかすかに揺れています。

付近には音楽のライブで人気の「ゴールドストーン」があり、開演前などはお店周辺が賑わっています。
しかし、その賑わいも一時的なもの。
お客さんがお店の中に入ってしまうと、あたりは再び静寂に包まれます。

北運河の途中に架かる北浜橋からは、ホテルノルドソニアが見え、観光地の煌びやかな空気を遠くに感じることができます。
左手には北海製罐の倉庫や工場が立ち並び、その無骨な佇まいが遠くの華やかさを一層際立たせます。

さらに北へ行くと、喧騒はもう橋の遠く向こう側。
橋の向こうから漏れ出る華やかな光と、狭い雪道に点在するガス灯の光が、夜の静けさをより濃いものにします。

北の端には何もありません。
遊歩道に並ぶガス灯と、その向こうに天狗山の灯りが見えるだけ。

北運河には何があるの?と聞かれると、何もありませんとしか答えられません。
しかし、万人の目を引き付ける華やかさはありませんが、まるで物語の世界に入ったかのような、他では味わうことのできない独特の雰囲気があります。

幸か不幸か、まだ小樽市民と一部の写真好きにしかほとんど知られていない北運河。
ほんの少しだけ、いつもの違う空気を感じたい方は、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

※北運河は柵のない箇所が多いです。落ちないように注意してください。

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