小樽の町名の由来を紹介します。
前編である今回は、相生町~住ノ江まで。
ご覧ください。
- 相生町(あいおいちょう)
町名設置:明治14年
由来:「相生の松」から。繁栄の願いを込めて、とのこと。
相生の松(あいおいのまつ)とは、雌株・雄株の2本の松が寄り添って生え、1つ根から立ち上がるように見えるもの。また、黒松と赤松が1つの根から生え出た松のこと。
- 赤岩(あかいわ)
町名設置:昭和49年。南赤岩町は昭和11年に設置。北赤岩町ができたのはなぜか昭和32年。
由来:赤い岩肌から
- 旭町(あさひまち)
町名設置:昭和28年
由来:不明
ちなみに旭町の人口は0人。(平成26年9月末現在)
- 朝里(あさり)
町名設置:昭和18年朝里村合併による。それ以前は不明。
由来:
- アイヌ語「アサリ」「モアサリ」(小さな川)
- アイヌ語「マサリ」(浜沿いの草原)
朝里には「柾里川」(まさりがわ)という川もありますね! - アイヌ語「イチヤニ」(サケの産卵場)→イザリ→アサリ
- 朝里川温泉(あさりがわおんせん)
町名設置:昭和44年
由来:温泉が出たことから
- 有幌町(ありほろちょう)
町名設置:明治4年
由来:アイヌ語「アリポロ」(食料が多い)
- 石山町(いしやまちょう)
町名設置:大正4年
由来:築港の埋め立ての際にこのあたりの石を切り出したことから
- 稲穂(いなほ)
町名設置:明治14年
由来:龍宮神社にアイヌの供物「イナウ」が供えられていたことから
イナウ(inaw, inau)はアイヌの祭具のひとつ。カムイや先祖と人間の間を取り持つものとされた。強いて言えば日本における御幣に相当するが、それよりも供物としての性格が強い。
- 入船(いりふね)
町名設置:明治5年
由来:かつて船の荷下ろし場であった入船川より。現在の入船川は、ほとんどが暗渠になっており、その姿を確認することはできません。
- 色内(いろない)
町名設置:明治14年
由来:
- アイヌ語「イルエナイ」(澄んでいない川)
- アイヌ語「イルウエナイ」(クマの道の沢)
- アイヌ語「イルオナイ」(クマの足跡のある沢)
- 梅ケ枝町(うめがえちょう)
町名設置:大正4年
由来:当初、遊郭があったことから「花見町」と名付けようとしたようです。ところが、それではあまりに露骨ではないか、という反対意見が出ちゃったようで。
「じゃあ南の遊郭には『松ケ枝』と名付けたから、北の遊郭には『梅ケ枝町』と名付けよう。それならちょっとソフトだよね!」
そんなわけで梅ケ枝町になったようです。
- 奥沢(おくさわ)
町名設置:大正4年
由来:勝納川の奥の沢であるから
- 忍路(おしょろ)
町名設置:昭和33年塩谷村合併による。忍路郡は明治2年。
由来:
- アイヌ語「ウショロ」(入り江)
- アイヌ語「ヲショロ」(尻:地形が似ていることから)
Wikipediaでは「オショロ・コッ」(尻のような窪み)とされていますが、「コッ」の部分が使われていた形跡が見当たらないので、この説は薄そうです。
- オタモイ(おたもい)
町名設置:昭和44年
由来:アイヌ語。砂の入り江。
小樽唯一のカタカナ町名。漢字で書くと於多萌。
- 勝納町(かつないちょう)
町名設置:明治3年
由来:アイヌ語「アッチナイ」(豊かな水源の沢)
- 桂岡町(かつらおかちょう)
町名設置:昭和33年
由来:桂の木がたくさんあった「桂沢」の高台にあることから。
- 幸(さいわい)
町名設置:大正4年
由来:不明ですが、特に込み入った事情はないんじゃないですかね~(適当)
- 堺町(さかいまち)
町名設置:明治4年
由来:江戸時代、タカシマ場所(郡)とオタルナイ場所の境界であったことから。
- 桜(さくら)
町名設置:昭和18年
由来:東小樽土地区画整理組合の公募による。さくらんぼの木が多かったことから。
- 潮見台(しおみだい)
町名設置:明治5年
由来:不明。アイヌ語説もありますが、海を見下ろす高台というそのままの意味の方が自然だと思います。
- 塩谷(しおや)
町名設置:昭和33年、塩谷村合併による。それ以前は不明
由来:アイヌ語「シューヤ」(鍋岩)。アイヌの酋長が鍋を岩にかけたことから。
- 東雲町(しののめちょう)
町名設置:大正4年
由来:当時、東雲町周辺が昼夜問わずたいへんな賑わいだったことから、夜明けの意味で東雲となったとか。
今もその名残で大きな家がたくさんありますね。
- 清水町(しみずちょう)
町名設置:大正4年
由来:手宮川の流れから。「源町」(源流)→「清水町」(きれいな水)→「豊川町」(豊かな川)→「錦町」(錦のように輝く)という感じですね。源町のみ、清水町に統合されてしまいました。
- 祝津(しゅくつ)
町名設置:詳細不明。明治35年に祝津村と高島村が合併し、高島町へ。
由来:アイヌ語「シクヅシ」(ギョウジャニンニクの多い場所)
室蘭にも祝津がありますね。あちらの読みは「シュクヅ」ですが。
- 新光(しんこう)
町名設置:昭和18年?
由来:不明。昭和15年の朝里村合併の際には、まだその名はないようでした。
- 新光町(しんこうちょう)
町名設置:昭和18年?
由来:不明。昭和18年に朝里村から分かれたみたいなんですけど、それが新光なのか新光町なのか、はたまた両方同時にできたのか、真相はわかりません。
- 新富町(しんとみちょう)
町名設置:明治6年
由来:不明
- 末広町(すえひろちょう)
町名設置:大正4年
由来:末広がりから。当時周辺が賑わっていた(手宮と梅ヶ枝にはさまれている)ことにから、こりゃ将来楽しみじゃ~、と名付けられたのではと勝手に想像。
ちなみに入船にある「末広稲荷神社」は、末広座という芝居小屋を経営していた鈴木吉五郎さんという人物に由来するそうです。鈴木吉五郎さんは小樽で最初の私設消防団を作った人でもあります。
- 住ノ江(すみのえ)
町名設置:明治16年
由来:住吉神社が明治24年まで墨江神社の名だったことから。
今日はここまで。
町名が58個もあるんでなかなかタイヘンです。
大体、新光と新光町ってなんですか!
- 新光
- 新光町
東西に分裂しちゃってるじゃないですか!(地理的に)
生き別れた家族に会うために命がけで壁を越えたりするんですか!
靴の底にメモを隠して検問をくぐり抜けたりするんですか!
東西の子どもたちに友情が芽生えちゃったり……
えっ!? 禁断の恋ですか!?
以上、中村でした。
※新光も新光町もたいへん平和です。
▼後編へ続きます。
【歴史】小樽の町名全58個の由来を調べてみた!後編:住吉町~若松
参考文献
河村禮三(1982)「小樽町名の由来」,市立小樽図書館所蔵.
参考WEBサイト
水口忠(発行年不明)「小さな郷土史」,北の風信,[online]homepage2.nifty.com/tamizu-otaru/mizpage1.html(参照2014-10-27).
「アイヌ語の地名」,たそがれの小樽へ,[online]tasogare-otaru.jimdo.com/話す-聞く/アイヌ語の地名/(参照2014-10-27).
浜田隆史(2002)「私のアイヌ語地名解」,オタルナイレコード,[online]www.geocities.jp/otarunay/otatimei.html(参照2014-10-27).