2016年に廃止された留萌線留萌ー増毛区間の終着駅があった増毛町。
旧増毛駅から国道231号へ向かう坂の途中に、北海道遺産にも登録されている道内最古の木造校舎・旧増毛小学校があります。
2017年5月末の「えび地酒まつり」に合わせ、内部が特別公開されていたのでご紹介します。
増毛小学校は明治11年に児童数36名の「増毛教育所」として設立。
現在残っている旧校舎は昭和11年に建てられ、最盛期の昭和30年代には1,000人以上の児童が在籍していました。
そのため校舎もかなり大型。
航空写真で見ると規模がわかりやすですね。
これほど大きな木造校舎は今ではかなり珍しいです。
職員室です。
今回の特別公開の待機場所になっていました。
中庭です。
目の前の木は、戦時中に職員室を隠すために植えられたとか。
その後木が成長し、2階の教室に入る光を遮ってしまうことが問題になり、切る切らないで問題になったそうです。
結局切られることなく今に至ります。
学校っぽいアイテム。
生徒は使わないものですが、なぜか懐かしさを感じます。
廊下に出ます。
校舎が大きいので、当然廊下も長い。
2016年には雑巾掛け大会が開催されました。楽しそう。
階段も素敵ですね。
手すりの出っ張りは「滑りガード」。
手すりを滑り降りるアホウな児童への対抗策です。
怪我の他、衣服が引っかかってやぶれたりする危険性があるんですよね。
釘の頭にズボンが引っかかってお尻の部分が裂けたりね・・・
上着を腰に巻いて誤魔化したりするんですよね・・・
こちらは資料室。
学校に関する資料のほか、昔の生活用品などが展示されています。
計算機です。使い方がまったくわからないです。
昭和中期に流行った人文字。
各市町村に必ずひとつはあるのではないでしょうか。
今はドローンで簡単に撮影できるので、もしかしたらまた流行るかもしれませんね。
理科室。たぶん。
トラス構造の体育館。
トラス構造とは三角形を組み合わせた骨組みの構造のこと。
橋などでよく使われていて、とても丈夫です。
北海道では夕張の三弦橋が有名ですね。
今となってはオシャレ建築にしか見えません。
かっこいい。
北海道の学校で2番目に古いグランドピアノ。
ステージ。
戦時中は御真影が掲げられていたそうです。
ステージ裏には今でも御真影を入れていたスペースが残っています。
わかりにくいですが、「運動場」の下に英語が書かれています。
これは戦後、進駐軍が来たときのもの。
学校の歴史の長さがわかりますね。
体育館の横の水飲み場。
イベント等で利用されるためか、石鹸が設置されたままです。
こちらは防火扉。
昔はどこの町でも大火がありました。
増毛でも明治13年に町の半分を焼く大火がありました。
この防火扉は幸いなことに出番がなかったようですね。
教室です。
今までさまざまな廃校活用の事例を見て来ましたが、机や椅子が並ぶ教室の風景が残っているのは何気に珍しいです。
こちらの部屋は床や壁が昔のまま。
古さをより実感できます。
2階の図書室の窓から見る中庭。
フジが満開でした。
右に見えるのは体育館。
トラス構造が外にも続いています。
図書館から見る2階の廊下。
走りたくなるカーブです。
階段。
オシャレ感溢れる構造。
畳の部屋から見える景色。
晴れていれば最高の眺めです。
百人一首。
北海道には「下の句かるた」という独自文化があります。
下の句を読んで下の句の札を取るというルール。
札も取る方は木札で、書いている字も1年前に急いで書いたメモ並みに判別が難しい。
子供の頃はこれがグローバルスタンダードだと思っていて、実際のスタンダードを知ったときはちょっとしたカルチャーショックを受けました。
2階から見る中庭。かなり広い。
子供たちには良い遊び場だったことでしょう。
最後は保健室。
ストーブが懐かしい。
今でもこのタイプを使っている学校はあるのでしょうか?
増毛小学校は普段は非公開ですが、たまにイベント等で入れることがあります。
ここ数年はえび地酒まつりのたびに公開されていますし、前述の雑巾掛け大会の他、肝試しなんかも開催されているようです。
校舎も大きく見ごたえたっぷりなので、機会があればぜひ見学してみてください。
増毛町では校舎の保存のために寄付も受け付けているようです。