2000年有珠山噴火の全貌を体験できるふたつの散策路。
西山山麓火口散策路では、無数の噴石が降り注いだ幼稚園や、下り坂が上り坂になるほど隆起した町道、道路を飲み込んで開いた3つの火口などを見ることができます。
2000年3月31日に噴火し、街に甚大な被害をもたらした有珠山。金比羅火口災害遺構散策路ではふたつの巨大な火口の他、大量の土砂が流入した町営施設や、流れてきた橋が激突した団地などを見ることができます。
とうやこ幼稚園
西山山麓火口近くにある「とうやこ幼稚園」。
金比羅火口方面のような泥流の被害はなかったようですが、噴火時に降り注いだおびただしい数の噴石の跡が生々しく残されています。
正面玄関側からはわかりませんが、中庭にまわると、壁は穴だらけ。
天井も穴だらけ。
雨風も日光も入るため、中では植物がすくすくと育っていました。
中庭の幼稚園バス。
バスの天井にも穴が空いていました。
噴石の衝突で遊具の鉄パイプが大きく曲がっています。
この威力の噴石が無数に降ってくると考えると恐ろしいですね。
こちらのバスも天井に穴。
高いところから見ると、庭石のような大きな石(岩?)がたくさん転がっているのがわかります。
これらはすべて噴石。遊具を変形させるどころか圧し潰してしまいそうな大きさの岩もたくさんあります。
散策路〜火口
幼稚園から火口へ向かいます。
火山活動により、道路のあちこちが隆起しています。
上に柵らしきものがあるので道が通っていたのかもしれませんが、それがどのように繋がっていたのかまったくわかりません。
草に埋もれたクラシカルなスポーツカー。
たぶん車好きな人なら「うわああああ!」っていうやつです。
折れた電柱。
一部が土に食い込んでいます。
お菓子工場です。
屋根は穴だらけで、さらに土砂が積もっています。
一般的な廃墟とは明らかに様子が違います。
火口です。
遠くには噴火湾が見えます。
こうやって見ると意外と標高が高いですね。
こちらも火口。
この辺りには道路が通っていたはずなのですが、今は見る影もありません。
折れた電柱その2。
標識の高さまで埋まっています。
町道を横切った断層。
正面から見ると階段状になっているのがわかります。
2000年の噴火では、西山山麓は75mも隆起しました。
にわかには信じがたいですが、この道はもともと下り坂だったそうです。
西新山沼。
標識や車からわかる通り、ここも道路でした。
一時停止の標識から察するに、先ほどの町道と国道(写真下)の交差点だったようです。
西山山麓火口散策路はここで終点。
金毘羅火口の散策路の終点とつながります。
温泉街へ戻るにはこのすぐ横にある旧消防署前のバス停からバスに乗るのが良いです。
幼稚園側から温泉街へ戻るのは大変なので、車じゃない人は気を付けてください。
(このあと幼稚園側で迷っていた外国人の方を温泉街まで送っていきました)
おわりに
100年間で4度も噴火している有珠山。
頻度から考えると、10年以内に再び噴火してもおかしくはありません。
今見ることのできる火口や断層も、次の噴火では消えてしまうかもしれません。
これほどダイナミックに変化する大地を見ることができる場所は、北海道ではおそらく有珠山だけ。日本全国でもそれほど多くはないはずです。
最近は“SNS映え”で外国人からの評価も急上昇しています。
年間を通してダイナミックな自然を感じることができるスポットなので、ぜひ訪れてみてください。